交通安全ルールを伝える体験設計

スマートシティの特殊な交通安全ルールを伝える体験設計

UX Design
Time frame: 8 weeks
Client: Major Manufacturer
Role: UX Designer
Skills: Field Research, Interview, Service Blueprint, UX Design, Prototype
(都合により概要のみ掲載しています)

Summary

大手メーカーによるスマートシティプロジェクトで、住民が新しい交通ルールやテクノロジーを安全に利用し生活するための教育体験設計に携わりました。街のゲート施設での初回教育のユーザーフローを住民視点で整理し、交通安全を意識的に学べる仕組みづくりに取り組みました。クライアントと毎週打ち合わせを重ねながら、施設の運用フローに合わせたサービスブループリントを作成し、体験施策を提案しました。リサーチからジャーニー整理、アプリの機能や画面構成の検討、プロトタイピングまでを担当し、提案内容は、クライアント社内で設計方針検討のベース資料として活用されました。

目的:交通ルールの理解と行動定着を促すUX設計
期間:2ヶ月
体制:5名
役職:UXデザイナー
担当業務:リサーチ、調査レポート作成、体験設計、アプリ機能・画面構成検討、プロトタイプ制作

Challenge

スマートシティでは、自動運転車や特殊な交通ルールの導入により、住民の生活環境が大きく変化することが予想されていました。これらの新しいルールを住民に理解してもらい、事故を未然に防ぐため、街のゲート施設で初回教育を実施する必要がありました。そのため、運営のオペレーションと住民のユーザー体験を整理することが求められていました。

Solution

住民が交通ルールを理解し、安全意識を高められるよう、ゲート施設での教育体験を軸にしたサービスブループリントを作成しました。施設内では、視覚的に交通ルールを伝えるビデオやサイネージを活用し、住民が繰り返しルールを認識できる環境を整備しました。また、アプリによる安全ルールの学習機能といった施策を提案し、住民が自然と安全意識を持てる仕組みを目指しました。単にルールを伝えるのではなく、住民の主体的な行動変容を促す体験を重視しました。

Process

01. プロジェクト理解とスコープ設定

リサーチやヒアリングを通じて、開発が進むスマートシティの特性や住民が守るべきルールを理解し、プロジェクトのスコープを明確化しました。

02. ペルソナの設定

主なユーザーとして、母親と子供の親子連れを想定し、ペルソナを設定しました。

  • 子どもは飛び出しなど事故リスクが高く、ルール理解が重要。
  • 親は教育・見守り役として、子どもの行動に強く関与。

03. ユーザーフローの整理

街のゲート施設での住民の導線を確認し、施設内でどのように移動しながらルールを学ぶべきかを検討しました。スムーズかつ直感的に学習できるようユーザーフローを整理しました。

04. フィールドリサーチとインタビュー

スマートシティ同様に多様な利用者が集まり、安全性と快適性が重視される羽田空港を訪問し、安全ルールの伝え方に関する調査を実施しました。また、元航空会社スタッフへのインタビューを通じて、空港のルール運用の実態をヒアリングしました。案内表示、音声アナウンス、スタッフの対応方法に着目し、ユーザーが自然にルールを理解できる仕組みを検討しました。

リサーチからの発見として、ユーザーはルールを記憶ではなく、その場の状況で判断していることや、事前に理解していても現場では思い出されないことが分かりました。
そのため、ルールは「読まれない」「記憶されない」前提で設計する必要がありました。

[施設・スタッフ側の工夫]
・複数チャネルでの繰り返し伝達
・自然とルールに従う導線設計
・状況に応じた注意提示
・スタッフによる柔軟なサポート
・迷わず進める空間設計

[ユーザー側の行動と心理]
・ユーザーの主体的行動が意識を高める
・興味のない情報はスルーされる
・他者の行動を手がかりに判断する
・文化・背景による価値観の違い

05. サービスブループリントの作成

住民の体験を支える運営側のプロセスにも配慮し、サービスブループリントを作成しました。施設スタッフがどのように住民をサポートし、必要な情報を提供するかを明確化することで、ユーザー体験と運用オペレーションを総合的に整理しました。

06. コンセプト設定

オーナーシップを重視し、住民が受動的に理解するのではなく、能動的にルールを守れるような体験設計を検討しました。「理解させる」ことから「行動を支える」体験へ変更しデザインを進めました。

07. 体験施策の提案

ルール学習を一度の説明で終わらせず、理解の促進と、その後の行動意識を支える体験として、施策アイデアを提案しました。
学習体験と日常の接点を組み合わせ、主体的な理解から行動へつなげるUXを意識しました。

ルールクイズアプリの提案

クイズ形式でユーザーの能動的な参加を促し、安全ルールの理解と定着を支援します。また、子どもでも直感的に理解しやすく、親子で学べる体験を提案しました。

継続的な交通ルール教育の仕組み

アプリでの通知機能や、ルールを振り返る機能を提案しました。定期的なリマインドによりルール意識を維持する仕組みです。

サイネージのルール表示

ゲート施設や街中に交通ルールを伝えるサイネージや案内板を設置し、ユーザー導線上で繰り返しルールを想起させます。

まとめ

ユーザー視点に立った体験設計により、住民が主体的に安全意識を持てる仕組みを提案しました。また、毎週クライアントとの打ち合わせを通して、施設運用と住民体験を突き合わせながら検討し、オペレーションの実現性とユーザー体験の両立を図った点が特徴です。

Key Outcomes

・空港でのフィールドリサーチを実施し、調査レポートを作成
・ユーザー視点の体験設計と運営オペレーションを統合したサービスブループリントを作成
・住民の主体的な行動変容を促す体験コンセプトと施策を設計
・アプリ・サイネージ・映像など複数手法による体験施策とプロトタイプを提案
・提案内容はクライアントから高評価を受け、社内での方針検討の基本資料として展開・活用

Reflection

このプロジェクトを通じて、新しいルールやテクノロジーを住民に伝える際に、ユーザー視点で体験を丁寧にデザインすることの重要性を改めて実感しました。また、一方的な情報提供ではなく、住民が自ら関わるプロセスをつくることで理解が深まることや、運営側との連携を通じて、実行可能なオペレーションに落とし込む重要性も改めて認識しました。